病因
病原性の高い歯周病菌、プラーク、外傷性咬合など。
宿主
遺伝的要因、ストレス、口腔の解剖学的形態など。
環境
生活習慣、文化など。
これらのうち、毎日の生活習慣は歯周病の発症・進行に大きな影響を与えます。不適切なブラッシング、肥満、喫煙、飲酒は大きなリスクファクターです。
歯周病は歯を失う原因の第一位であり、世界最大の感染症です。
歯周病とは、歯周組織とバイオフィルムの共生関係の破綻により発症する疾患です。
以下の症状がある方は予備軍または発症しているかもしれません。
歯周病の原因は病因、宿主、環境の3つに大別され、以下のようなリスクファクターがあげられます。
病原性の高い歯周病菌、プラーク、外傷性咬合など。
遺伝的要因、ストレス、口腔の解剖学的形態など。
生活習慣、文化など。
これらのうち、毎日の生活習慣は歯周病の発症・進行に大きな影響を与えます。不適切なブラッシング、肥満、喫煙、飲酒は大きなリスクファクターです。
ヒトの皮膚、口腔、消化管などには多くの細菌が生息しています。これを常在菌と言います。常在菌の集まりを常在菌叢といい、ヒトにとってプラスの働きをしてくれています。
口腔常在菌も外来菌の口への感染を防いでくれていると言われています。 適切な細菌叢と健康体であればお互いに助け合っているのです。
歯周病の細菌叢は5つのグループに分けられ、一番病原性の高いグループはレッドコンプレックスと言われます。その中のP.gingivalis(P.g菌)という菌が最も重要な菌です。
不思議なことにP.g菌は18歳以前の中高生には存在しないと言われています。18歳以降口腔内に感染し歯周病の細菌叢を確立させるのです。この細菌叢はバイオフィルムと言われる集合体でプラーク(歯垢)を形成し存在します。
P.g菌に感染したからといって必ず歯周病が発症するわけではありません。これを不顕性感染と言います。口腔清掃不良や加齢、生活習慣、遺伝的要因などの理由で歯周組織と歯周病の細菌叢とのバランスが崩れた時に発症します。
発症すると、上皮バリアを壊し、歯周ポケット内に潰瘍面を形成、歯周病菌の餌となる鉄分などを出血により確保、P.g菌の増殖、P.g菌が他の菌の増殖を助ける、高病原性バイオフィルムを形成、共生関係の破綻を起こします。
高病原性のバイオフィルムは歯周組織を攻撃します。一方、体は免疫応答しバイオフィルムを排除しようとし炎症反応を起こします。しかしバイオフィルムを排除することはできず、際限なく炎症は亢進し歯周組織はダメージを受け破壊されます。歯周組織が破壊されるとより歯周病菌の悪性が強まり、歯周組織の破壊を進めていきます。
この一連の流れにより、歯を支える骨(歯槽骨)が吸収されるのです。
歯周病は完治することはありません。それは歯周病菌を完全に駆逐することは不可能だからです。
バイオフィルムの状態で存在する歯周病菌は、抗生物質や消毒薬が効きません。機械的に除去する以外ないのですが、完全に除去することはできません。
また、歯周病菌は細胞内に侵入することもわかっています。生涯に渡り、歯周病の細菌叢との共生関係を維持し、歯周組織に炎症を起こさないことが重要なのです。
歯周組織の慢性炎症や歯周病菌が全身に悪影響を及ぼすという臨床研究が数多く報告され、歯周病と様々な全身疾患は互いに影響し合うと考えられています。
歯周病菌が血流に乗る(菌血症)と心血管疾患に影響する事や、歯周病由来の炎症性物資が血流に乗る事で糖尿病を悪化させることもわかっています。
また、様々な生活習慣病の原因となる肥満にも影響していることもわかっています。歯周病が発症すると歯周ポケットの内面に潰瘍が形成されます。歯周病菌はこの潰瘍を通じ毛細血管に侵入し血流に乗って全身を巡ります。
例えば、全ての歯に深さ5mmの歯周ポケットがあった場合、その潰瘍の総面積は手の平大程度になります。歯周治療によって潰瘍を閉鎖することは全身的にも大きな意味があるのです。
口臭は国際分類で5つに分けられています。
そのうち実際に口臭がするのは真性口臭と言います。
真性口臭のほとんどは口腔由来で、生理的口臭と病的口臭に分けられます。稀に肝疾患などの全身疾患由来の口臭もあります。生理的口臭は口腔清掃不良や唾液の量が少ない事などにより蓄積したバイオフィルムや舌苔によるものです。
臭いの原因は多くの菌が産生する硫化水素です。病的口臭は歯周病によるもので、歯周病菌が産生するメチルメルカプタンが臭いの原因です。どちらも口腔内の清掃、歯周病治療で改善することができます。舌苔の清掃も有効です。
歯周炎は歯肉の炎症から歯槽骨へと炎症が広がり、歯槽骨が吸収され発症します。
歯槽骨が吸収し、深くなった歯周ポケット内にプラーク(歯垢)がたまり、さらに炎症が悪化し歯槽骨が吸収することにより重症度がましていきます。この間痛みなどの強い症状がなく進行していくことが多いのも特徴の一つです。
歯周病の検査結果を元に、以下の順番で行います。
超音波スケーラーなどを使ってプラークや歯石を除去します。
良くなっているか、再度検査をして確認します。
歯石が歯周ポケットの深いところに入り込んでいる場合には、外科的治療を行うことがあります。
治療の初期段階では歯にこびりついている歯石を、スケーラーを用いて除去します。歯根についた歯石には歯周病菌の塊が付着しているので、ルートプレーニング(SRP)という方法で徹底的に清掃していきます。軽度歯周炎であればこれで治癒します。
中等度から重度の歯周炎の場合は歯周ポケットのより深いところに歯石を除去します。歯肉を切開し歯根の清掃・歯槽骨の整形を行う歯周外科療法や吸収された歯槽骨などを特殊な材料で補う歯周再生療法があります。
定期的なプロフェッショナルケアと正しい方法によるセルフケアが非常に重要です。
また、全身的な健康にも相互的に関わりますので、生活習慣等の改善も必要です。改善に向けしっかりとサポートさせていただきます。
治療後に移植した自家骨または、人工骨が歯肉の縫合の裂開により感染するリスクがございますが、本来の歯を維持できる可能性のある治療法です。
歯周再生治療とは文字通り、歯周病によって失った歯周組織(骨)を再生する治療のことです。 条件がよければ骨を再生して自分の歯を守れるかもしれません。
step.1
骨吸収が生じた部位をまず歯肉を切開・剥離し、汚染した根をよくきれいにします
step.2
その根をEDTAにより化学的に洗浄します
step.3
エムドゲインという薬剤をつける
step.4
剥離した歯肉を戻して縫合します
エムドゲイン法とは、失った歯周組織の中に「エムドゲインゲル」という特殊な素材を入れることで組織を再生させる治療法です。
歯肉を切開し歯根を清掃しエムドゲインゲルをつけ歯肉を縫合します。通常1・2週間で抜糸します。
エムドゲインは歯根の形成時にも分泌され、歯を支えるための組織を発達させる物質です。現在、世界の多くの国々で行われている安全な治療法です。
※エムドゲイン法は保険適応外です
歯周外科治療が終了後、治癒を待ち再評価します。その再評価をもとに補綴などの治療に進んでいきます。
このエムドゲインの効果は簡単に言うと骨欠損部への骨や歯根膜をつくる細胞の増殖を促進し、一方それを阻害する上皮の増殖を抑制することで歯周組織を再生します。
当院では開業以来、歯周治療に力を入れてまいりましたが、このエムドゲイン療法により、より多くの再生が可能となりました。
歯を抜いても現在ではインプラントという選択肢もありますが、やはり天然の歯より良いものはありません。 歯周病の状態にもよって再生しやすいものと、そうでないものがありますが、大切な御自身の歯をあきらめる前にぜひ相談してみてください。
GBR法とは、右上の奥の重度歯周炎の歯を抜歯して、インプラント周囲の骨を造成する治療法のことです。
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